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本を読もう! “Who we are”を考える宿題

UPBEATのG6クラス(小学6年生)には、本を毎日20ページ読もう!という宿題があります。

その20ページは、学校で読んでもかまいませんし、自宅で読んでもかまいません。

何を読もうか迷ってしまう生徒のために、推薦図書も用意しています。

G6(小学6年生)担当教師のLunaは、「人」にスポットを当てた本を選びました。

その中の1冊、 R. J. Palacioの『Wonder』は、心は澄んでいるのに外見がUglyな人の物語です。

ひどい顔面異常を持って生まれたアギーは、ずっと両親のもとで家庭教育を受けてきました。
初めて本物の学校に通うことになった彼は、彼の希望通り、クラスメートに自分も彼らと同じだと思わせることができるでしょうか?

ガーディアン紙はこの物語を「心を動かし変える力がある」と評し、数百万部のベストセラーになりました。

Alan Gratzの『Refugee』は、戦争によって避難民となった子ども達の物語です。

強制収容所の脅威が迫る中、地球の裏側へ向かう船に乗り込むユダヤ人の少年ヨゼフ。
暴動と不穏な空気が祖国を襲う中、安全なアメリカを目指していかだで旅立つキューバの少女イサベル。
暴力と破壊によって祖国が引き裂かれる中、ヨーロッパへの長い旅に出るシリアの少年マフムード。
それぞれ別の時代に生きた子どもたちを通じ、サバイバル、勇気、故郷への探求を意味深く描いています。

この物語は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに4年以上ランクインしました。

他にも、子どもたちが目を輝かせ思わず熱中して読んでしまう推薦本を揃えています。

2023年11月発表の、東京大学とベネッセ教育総合研究所が共同で実施した「子どもの生活と学びに関する親子調査」によると、小学1生生から高校3年生の読書時間平均は1日15.2分で、全く読まない「0分」の子どもも49%いるそうです。

7年間分の調査をデータ分析した結果からは、読書時間の長い子どもほど、理解や思考、表現等の能力に対する自己評価が高く、ニュースへの関心や自信、将来の目標に対する肯定率も高いことが分かりました。

また、家庭の蔵書量が多いほど読書時間が長く、読書の大切さを伝えられている子どもほど読書時間が長いことも明らかになりました。

インターナショナルスクール、特にIB(国際バカロレア)校では、本を読むことを推奨し、リーディングの宿題も多く出ます。

それは、子どもたちの読書体験が、PYPの重要な側面である「トランスディシプリナリー(教科の枠をこえた)学習」の一環になっているからです。

IB校の「PYP (Primary Years Programme)=3歳~12歳を対象にした心身の発達を重視したプログラム」では、年間で6つの学術テーマが設定されています。

今回、教師が選んだのは、そのテーマの1つ「Who we are(私たちは誰なのか)」に関する本です。

因みに、他の5つのテーマは以下の通り。

Where we are in place and time(私たちはどのような場所と時代にいるのか)
How the world works(世界はどのような仕組みになっているのか)
How we express ourselves(私たちはどのように自分を表現するのか)
How we organize ourselves(私たちは自分たちをどう組織しているのか)
Sharing the planet (この地球を共有するということ)

PYPの子ども達は、社会的に重要視されるこれらのテーマを出発点として、現実世界で体験している問題や機会を検討していきます

読書の宿題(毎日の読書習慣)は、子どもたちが様々な出来事を検討する際にも、直接的、間接的に役立っているのです。

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